初対面のトークイベント 河瀬直美監督×斎藤工

5 月 30 日(土)の公開から連日、満席・立ち見の劇場が相次ぐなどその評判は広がり続け、全国で 77 館という小規模な公開から スタートしたにもかかわらず、6月9日(火)までに1億7454万3900円(観客動員数14万9988人)の大ヒットを記録 している『あん』。

女性客を中心に大ヒットしている『あん』だが、生きていく意味を見出していく千太郎(永瀬正敏)の気持ちに なって、男性にも本作を観てほしいと願う河瀨直美監督自らが 3 夜連続『あん』大ヒット御礼トークイベントを企画。

その第 1 夜がシネスイッチ銀座にて開催された。
第 1 夜のゲストは俳優としてのみならず映画監督としても活躍する斎藤工。

斎藤が河瀨監督をエスコートしながら登場すると観客 からは歓声が!
斎藤は「映画は余韻だと思うんですけど、その余韻を汚さぬようにしたい。監督とお話ができるということで、素 敵な夜に出来たらと思います。」と笑顔で挨拶をした。
実は 2 人が顔を合わせるのは本日が初めて。監督の前作『2 つ目の窓』の トークショーに、主演・村上虹朗と同じ学校の出身がきっかけで斎藤が参加した縁があり、対談が実現。

そんな斎藤に対し河瀨監 督は、「『あん』は希林さん(が演じた徳江さん)が力強いメッセージを贈られた。そのメッセージを工君が感じ取って下さっていれ ば。今日はじっくりお話ができればと思います。」と、対談に期待を寄せた。

余裕の「逆壁ドン」河瀬監督!? 

斎藤はイベント前、楽屋にて第 3 夜のゲストでもあ る写真家のレスリー・キーに「(河瀨監督は)工に壁ドンしてもらわないと。」と半ば強制的に河瀨監督に壁ドンをしたことを明か した。「初めましてで壁ドンって。ぼくの一発芸になっている。」と会場を沸かしつつも、「あまりにも僕が照れてしまい、河瀨さ んはピクリとも心が動いていない。河瀨さんに“壁ドン返し”された。」と苦笑いした。
『あん』を観た感想について斎藤は「河瀨さんの作品は学生の頃から拝見しているんですけど、毎回更新される。『2 つ目の窓』 を観て、一番好きと思ったけど、『あん』を観て「ちょっと待てよ!また上書きされた!」と思いました。」と大絶賛!
「TV(ドラ マ)は画(え)やセリフで説明を切り取っていくが、河瀨さんの作品は説明じゃない。役者さんたちも演技ではない、存在している。」 と河瀬監督作品の印象を語り、「どう演出しているのか」と疑問をぶつけた。

監督論を伝授---驚く斎藤工

すると河瀨監督から「監督もされているが俳優さん にどう演出しているの」と質問返しが。斎藤は自身の演出方法について、「キャスティングをした段階で半分演出が終わっている。 映画のプロセスの知識があるわけではないので、変に背伸びするのはやめよう、と。(各パートのスタッフに)力を発揮してくださ いという感じ。」と語った。
一方の河瀨監督は「本作で(希林さん演じる)徳江さんが千太郎とワカナにぜんざいを振る舞うシーン は 360 度どこをみてもカメラ、スタッフが見えないようにした。私の現場はスタッフが仕事をさせてもらえないの。」と斎藤とは 正反対の演出方法であったことを明かした。これには斎藤も「演技学校に行っている役者さんたちにとっては真逆のことですよ ね。」と驚きの表情。

さらに河瀨監督はワカナ役の内田伽羅に、シングルマザーの元で暮らすワカナの孤独を感じてもらうために、 2 日間だけ母親役の水野美紀と暮らしてもらい、その後は一人で暮らしてもらったと、徹底した演出へのこだわりを語った。 また先日河瀨監督は息子の授業参観日のときに、教師をしているママ友から「捨てられるあんこを千太郎さんは拾ったんだね。私 は(知らない人からもらったものは)捨てるって教えていた。来週、もう一度息子と観に行って、これまでやり過ごしてきたことと 向き合おうと思う。」と涙ながら声を掛けられたことを明かし、「私たちは見ないふりをしていることが多い。大人になればなるほ ど。ある種、映画が彼女の人生を変えたのかな。」と本作のメッセージが観客へと深く届いたことに感銘を受けた様子だった。

斎藤工の出演作もあり---!?「役柄を決めておかないと!」

MC から河瀨監督に「斎藤さんを起用するとしたらどんな役?」と質問が出ると、「工君の魅力って何ですか?」とまさかの観客へ と問いかけ!
「工君が表現している何かを知れば知るほどファンになっていく感じですよね?」と河瀬監督が呼びかけると会場の ファン全員が納得のうなずき!

斎藤の役柄について明言しなかったものの、斎藤の第一印象は「かわいいなと思いました。壁ドン された時もかわいいな、飼っておきたいなと思った。」と発言し、斎藤を困らせていた。

最後に河瀨監督は「あっという間だった。 同じ映像業界で仕事しているので、どこかでご一緒できたら。その時までに役柄を決めておかないと!」と冗談交じりに斎藤との 対談を振り、斎藤が主演している 6 月 20 日公開の映画、『虎影』のアピールでイベントを締めくくった。

『あん』は現在全国 80 スクリーンで公開、最終的に 5 億円興行を目指している。なお、世界ではすでに 28 地域、30 か国以上で の販売が完了している。

画像: Photographed by LESLIE KEE

Photographed by LESLIE KEE

©2015 映画『あん』製作委員会/COMME DES CINEMAS/TWENTY TWENTY VISION/ZDF-ARTE 4
配給:エレファントハウス

あらすじ

縁あってどら焼き屋「どら春」の雇われ店長として単調な日々をこなしていた千太郎。ある日、その店の求人募集の張貼り紙をみて、千太郎にその店で働くことを懇願する一人の老女、徳江が現れる。彼女の勢いに押され るように、半信半疑のままに、翌日からどら焼きの粒あん作りを任せた千太郎だが、彼女が作る粒あんがあまりに美味しく、次第に来客数も増え、店がみるみるうちに繁盛していく。いつも、潰れたどら焼きだけをもらいに 通っていた近所の女子中学生・ワカナも次第に徳江と心を通わせていく。ある日、徳江が昔ハンセン病を患っていたことが近所の噂になる。一気に客足が遠のき、千太郎も徳江を辞めさせなければならないこと状況にな る。この状況を察した徳江は、潔くその店を去り、それ以来徳江は千太郎やワカナの前に姿を見せることはなかった。徳江は、今どうしているのだろう...。それぞれの想いを抱えて、徳江の足跡を探す千太郎とワカナ。そし て、二人が対面したものは…。

出演:樹木希林 永瀬正敏 内田伽羅 市原悦子 水野美紀 太賀 兼松若人 浅田美代子 他
監督・脚本:河瀨直美
原作:ドリアン助川 「あん」 (ポプラ社刊)
主題歌:秦 基博 「水彩の月」 (AUGUSTA RECORDS/Ariola Japan)
企画・制作:組画 共同制作:Comme des Cinémas
撮影:穐山茂樹
照明:太田康裕
録音:森英司
美術:部谷京子
衣装:小林身和子
プロデューサー: 福嶋更一郎、澤田正道、大山義人 配給:エレファントハウス

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