すっかり三大映画祭の常連になり今年のカンヌでは審査員も務めた25歳の俊英グザヴィエ・ドランの最新作です。「BBC（恐るべき子供たち）」世代の映画をよく観ていた私にも見事にはまる作品です。映画監督もすっかり世代が変わって、素晴らしい才能が育っていたことに感動。その才能に加えてあの美男子っぷりは反則！
2015年の架空の国、カナダが舞台ですが、聞き慣れない法律以外は普通にカナダで、その設定からして面白い。フランス語の激しいやり取りの響きもいい。「僕には愛が足りないの？」という息子に「私たちには愛しかないでしょ。」という母。「ひりひりするような愛」っていう表現がぴったりの親子です。
映画がスタートした途端、アスペクト比1:1の画面に先ずはやられちゃいます。このアスペクト比1:1は何故か違和感ないです。最近ではInstagramの画像が正方形で見慣れているのと、何より内容にフィットしていたのでしょう。途中でワイドになる場面が2回ありますが、「おおっ」と声を上げてしまいました。実験的というよりは「映画を使いこなしている」といった印象です。
彼の作品では有名なスローモーションの効果もばっちりです。映画ってこんなことも出来るんだ、と素直に感心します。私には過去に見た様々な映画の場面を想起させられる、不思議な最新作でした。
また、選曲がいい！
普通にポップな曲からマニアックな曲・クラシックまで幅が広く、場面場面に合ったものになっているのが見事です。引き出しが多いなあとまた感心します。なぜか予告編で使われている2曲は本編では使用されていませんが、この予告編もまたいいです。
もちろん次回作にも期待です。
監督：グザヴィエ・ドラン
出演：アンヌ・ドルヴァル、スザンヌ・クレマン、アントワン=オリヴィエ・ピロン
配給：ピクチャーズデプト
提供：鈍牛倶楽部、巖本金属
後援：カナダ大使館
特別協力：ケベック州政府在日事務所
2014年／カナダ／フランス語／日本語字幕／138分
