映画『龍三と七人の子分たち』

数多くの個性的な作品を世に送り出してきた北野武監督がユニークかつ異色の設定で放つコメディタッチのドラマ。
オレオレ詐欺の被害者となって憤慨する元ヤクザの組長が子分を引き連れ、孫のような若さの首謀者たちを成敗していく。北野組初参加となる藤竜也を主演に、近藤正臣、中尾彬、小野寺昭ら平均年齢72歳の実力派俳優たちが主要キャストとして顔を揃え、世直しに息巻く血気盛んなヤクザを快演。

高齢化社会や詐欺犯罪といった社会問題を巧みに盛り込んだストーリーに加え、バスの暴走などハードなアクションも見もの。おお、今回は“ビートたけし”っぽさ全開だぞ!! 北野武とビートたけしの共同監督作と言って良いのではないかしら。

シンプルなストーリーでユーモアたっぷりで楽しい!!
これまでの北野作品ってなかなか笑い切れなかったけれど今回は何か振り切れたみたいに笑える笑える。小ネタ満載、毒舌満載、痛快で壮快なコメディ。

小気味良い笑いを醸し出す藤竜也が実に良いんだよね。凄みや色気、存在感が逆に笑いにはまっててさ。
近藤正臣も中尾彬も本来のイメージが微妙に見え隠れしながら笑いにはまってるのよね。
コメディのイメージがない役者だから余計にね。彼らの昔の修羅場を描いたモノクロ映像がなんだかカッコイイ。
ベテランたちの佇まいというか雰囲気は、1カット、1カットではすごい決まってるのに、動かすと面白いっていうのも面白いよね。おならギャグもあるし、歯に衣着せぬ掛け合いも、落語っぽい笑いも、ドタバタ劇もある。
ショートコントみたいなシーンが随所に効果的に盛り込まれてる。
特に中尾彬の遺体がどこまでも盾にされるシーンはたけしっぽいブラックジョーク全開で笑ったなあ。あえて死を軽く描こうとしてる感じだったり、所々に哀愁が感じられるせいかシリアス過ぎない感じだったり、それに寄り添う鈴木慶一の音楽だったりが見事。

たけしは多芸だなあ。やっぱりすごいや。
ベテランたちのボケやトボケた感じが絶妙な味わいの楽天的な老人讃歌だ。

シネフィル編集部 あまぴぃ

4/25公開「龍三と七人の子分たち」ミニ特番

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