画像: ‪市川崑監督『野火』(1959) #‎ミニシアター‬ http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film.html

‪市川崑監督『野火』(1959)
#‎ミニシアター‬ http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film.html

京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive

京都文化博物館フィルムシアター、映画監督市川崑の世界。5月17日は『野火』(1959)。

人肉食−人間を捨てる決断を迫られる主人公。彼は最後の気力を振り絞り、“人間に会いたい”という一心で、殺されると知りながら、かすかに登る野火を目指す。

「映画と文学の違いをはっきりと見極める必要があった。映画ではむしろ神の問題を全てなくすことによって“神”を感じさせられる」と市川監督と和田夏十。

京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive

京都文化博物館フィルムシアター、映画監督市川崑の世界。本日17日は『野火』(1959)。

京都文化博物館フィルムシアター、映画監督市川崑の世界。本日17日は『野火』(1959)。

人肉食−人間を捨てる決断を迫られる主人公。彼は最後の気力を振り絞り、“人間に会いたい”という一心で、殺されると知りながら、かすかに登る野火を目指す。

「映画と文学の違いをはっきりと見極める必要があった。映画ではむしろ神の問題を全てなくすことによって“神”を感じさせられる」と市川監督と和田夏十。
‪#‎ミニシアター‬ http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film.html

『野火』
1959(昭和34)年大映東京作品/104分・モノクロ
製作:永田雅一、藤井浩明 原作:大岡昇平 脚本:和田夏十 監督:市川崑 撮影:小林節雄 録音:西井憲一 美術:柴田篤二 照明:米山勇 特撮:的場徹 音楽:芥川也寸志 助監督:弓削太郎 編集:中静達治

出演:船越英二(田村)、滝沢修(安田)、ミッキー・カーチス(永松)、星ひかる(兵隊1)、潮万太郎(曹長)、月田昌也(兵隊2)、杉田康(兵隊3)、浜口喜博(下士官)、石黒達也(無精ひげの軍医)、稲葉義男(兵隊A班長)、浜村純(狂人の将校)、佐野浅夫(兵隊4)、伊達信(分隊長)

第二次世界大戦末期のフィリピン戦線レイテ島。日本軍はすでに総崩れになっていた。肺病の田村一等兵は隊からも、野戦病院からも追い出され、彼の帰る場所はもうどこにも無かった。雨期に入り泥海と化したジャングルの中、草を食べ飢えをしのいで歩き続ける田村は、野戦病院で一緒だった安田と永松に再会する。安田はしきりに「猿」の干し肉を勧めた。あまりの堅さに欠けた前歯と一緒に肉を吐き出した時、田村は初めて「猿」の意味を悟る・・・。

大岡昇平の同名小説の映画化。一兵士としてフィリピン戦線に送られ、捕虜生活も経験している大岡は「俘虜記」等でその経験を題材とした。その中でも「野火」は、飢えと絶望の極限状況の中で、人肉食という倫理的命題を契機に神に迫ろうとする問題作。

市川と和田夏十は「映画と文学の違いをはっきりと見極める必要があった。映画ではむしろ神の問題を全てなくすことによって“神”を感じさせられる」と、宗教的想念には直接は触れず、極限状況下における普通の“人間”を客観的に捉えることで、観客の心中に神の存在が自然と沸き起こるのではないか、と構想を改める。

状況は人間性に対する拷問にまで深められ、主人公は“人間”を捨てる決断を迫られる。彼は最後の気力を振り絞り、「人間に会いたい」という一心で、殺されると知りながら、かすかに登る野火を目指して解放への一歩を踏み出す。
『ビルマの竪琴』では同胞を供養して、ビルマの地に残り己を捨てる水島を主人公に全編をウェットに描いたのに対し、本作ではある種、喜劇的な兵隊同士のやりとりが挿入され、より冷徹に、ドライに極限状況が描かれている。

主演の船越英二は、市川作品常連俳優の一人。本作では役作りのため絶食し、撮影初日に栄養失調で倒れるという熱の入れようで挑んだという。人間が極限下においてもなお生きることに固執することの滑稽さ、不気味さを見事に体現。キネマ旬報主演男優賞を受賞し、代表作とする。(キネマ旬報賞第2位)

‪#‎ミニシアター‬ http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film.html

This article is a sponsored article by
''.