『バベル』『BIUTIFUL ビューティフル』で知られるメキシコのアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の新作『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』 が4月10日(金)より公開される。かつてスーパーヒーローもので名を馳せたものの、今は落ち目の中年俳優リーガンが再起をかけてブロードウェイの舞台に挑むさまを、『ゼロ・グラビティ』のエマニュエル・ルベツキによるまるでワンカットで撮られたかのような撮影とマジック・リアリズム的描写により描いている。本年度アカデミー賞作品賞、監督賞、脚本章、撮影賞の4部門を受賞した今作についてイニャリトゥ監督が語ったインタビューを掲載する。

画像: アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督 http://www.webdice.jp/dice/detail/4641/

アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督

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世界的な企業に管理された
エンターテインメント世界の状況を描く

──完成して、どんなお気持ちですか?
人々が受け入れてくれたら嬉しい。ユーモアというのは難しいものだ。ユーモアはドラマほど通用しないと言うが、私はこの映画でそこを確認してみたいんだ。

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──いつ、このアイディアを思いついたのですか?
5年ぐらい前に、鏡に映る自分自身というか、エゴと苦闘する男の話を考えていた。それは、私が開発していた別のプロジェクトのためのちょっとしたキャラクターだった。だから、エゴを扱ったものという考えは、そこから生まれた。

──そこから、どうやってこの主人公の俳優・リーガンというキャラクターに繋げたのですか?
彼のストーリーは始まりから、中盤、終わりまで全部を考えた。このキャラクターのことはよく分かっていたが、本作のアイディアを手にした時には、ニコラス・ヒアコボーネ、アルマンド・ボー、それに友人のアレクサンダー・ディネラリス(いずれもイニャリトゥ監督とともに今作の共同脚本を担当した脚本家)に集まってもらった。彼らにはニューヨークで会った。3人にこの話の基本的な設定と私が望んでいることを話したが、彼らは気に入ってくれて、皆で協力して、物語に取り組み始めた。ニューヨークで会って、その後、メキシコでも会い、それから、ロスでも数回、会った。スカイプでも、何度も話した。長い時間がかかったが、とてもうまく行った。これまで経験した中でも最高にエキサイティングな執筆経験だった。特に、誰もエゴを主張しなかったから良かった。脚本を仕上げることだけを目指した。皆でよく笑ったし、本当にすばらしい経験だった。

──バードマンというリーガンの分身が生まれたのはどの段階でしたか?
一時、年配の役者が舞台でもう一人の自分の声を聞く、というアイディアを検討していたが、どこか古めかしい感じがした。アレクサンダー・ディネラリスはインディペンデントの芝居を何本か書いていたが、彼も、ニコラスやアルマンドもこの考えにあまり乗り気ではなかったと思う。

ある日、私は突然、バードマンというスーパーヒーローの分身を思いついた。もうその時には、年配役者の声でドラフトの台本が出来あがっていたが、スーパーヒーローを分身にするという考えにとてもワクワクした。なぜなら、ある意味、これは我々が生きている時代にふさわしいからだ。その声は今、我々が苦しんでいる現状の一部だ。現状とは、つまり、世界的な企業に管理されたエンターテインメント世界の状況だ。このスーパーヒーローと主人公の関係は、我々にとっても意味のあるすばらしいものだと思った。皆、とてもワクワクした。その瞬間、“よし、これだ”と思った。そうやって、リーガンのもうひとつの声を少しだけ現代風にすることが重要だと分かったんだ。

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